心療内科医のひとりごと

専門用語を使わない心療内科のはなし


本当に嬉しい出来事

あまり寒くない土曜日の午後でした、受付から、「患者さんでは無いんですが、患者さんがご面会です」と連絡がありました。
予約リストにもお名前の無い方で、予想がつきません。
良くなられた方がまた悪くなられたのなら、患者さんとして予約をされる筈ですし、どのような方が来られたのか全く分かりません。

そして、驚きと喜びが飛び込んできました。
1年ほど前に治療が終わられたAさん、眼のぱっちりした可愛いお子さんを抱っこされて、ご主人と診察室に入ってこられました。

輝くような笑顔で、「半年になりました!」とお子さんを紹介してくださいます、「はい、お土産」とお茶菓子をくださいます。
優しそうなご主人が少し後ろから、「その節はお世話になりました、親子共々元気にしています」と仰います。
こちらも満面の笑み、何とも良い表情をされて居られます。

嬉しくて、感激して、涙があふれそうでした。
寂しげに俯いていた初診の時の彼女の姿を思い出します、少しずつ確実に良くなられ、彼氏が出来たらドンドンと良くなられて、当院で言う “卒業” をされました。
その彼女がお子さんを抱かれて、「先生にお会いして、ご報告とお礼を言いたくてよりました」と尋ねてくださったのです。

特別なことをしたわけでは在りません、初診時はとにかく聞くことに集中して、診断、治療方針、薬剤の効果と治療の全体像をご説明する。毎回、前回からの変化を伺ってお薬を処方する。
安定されたことを確認して、ご本人にも自信が出来てから、薬を次第に減らして、治療完了にいたる。
当たり前のことを、きちんとやっただけのことです。
彼女は、とても真面目な方で、何時もきちんと服薬をしてくださいました。

「可愛い子供を抱いた、若い人妻ほど美しい物は無い」
ロシアの作家が書いていたのを思い出します。
若いご夫婦の幸せと、その真ん中のお子さん。
これほど、幸せを感じさせてくれるものは在りません。

EUの解体? あの大統領、核実験に領海侵犯、惨たらしい暗殺事件、嫌なニュースばかり。
錦織選手が1回戦で負けてラケットを壊した !?

「紅旗征戎わが事にあらず」などと言う立場にはまったく居りませんが、嫌なニュースや世間への心配はとりあえず傍らに押しやり、Aさんからいただいた誇らしく嬉しい思いを胸に抱いて、もうすぐやってくる春を静かに待つことにします。

Aさん、本当に有難う!



About Me

こんにちは、腎臓・血圧内科を専門として医師の仕事を始めました。腎臓がとても悪くなると血液透析をしないと、生きていけません。血液透析とは機械を使って1回に3から4時間、週に3回から4回、血液をきれいにする治療です。これが始まると殆どすべての患者さんが、うつ病のような状態になられます。患者さんの心に触れないといけないと思い、精神科の勉強も始めました。心療内科・内科を開業して13年目になります。難しい専門用語をできるだけ使わずに、心療内科のお話をして行きたいと思います。

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