最初に受診されたのは、有名なデザイナーさんでした。
分類すれば男性となる身体構造を持っておられますが、自己認識は女性。
小学校に上がる時には赤いランドセルを買って欲しかったし、スカート姿に憧れたそうです。
苦労されましたが、デザイナーとして成功され、豊かに暮らされています、素敵な彼氏もいて表面的には満ち足りた生活を送られています。
誰に聞いたとは言われませんでしたが、私が性同一障害に対して差別的な感情を持っていないことを知られて当院に通うようになられました。
経済的に安定され、生活面では何の心配も無いのに、心の奥に重い苦悩を抱えて居られます。
「私って、化物かしら?どんなに好きな人が出来たって、その人の赤ちゃんを生むことなんて出来ないし、私なんて生まれて来ない方が良かったのかな?」
そんなことを言われながら、何度も涙を流されます。
私は構造上も、自己認識も男性ですが、このような方の悩みは解るような気がしています。
何が好き、誰が好き、どのようなことが好き、それは言うまでも無く全く個人的な問題で、本人が決めることです。
他人が口を出すことではありません。お前は構造上男性だから女性を愛しなさい、女性だから男性を愛しなさい。
そんなことを、他人に対して言う権利は誰も持っていないと思います。
性同一性障害との言い方にも抵抗が在ります、本当に障害なのですか?
本人が障害と感じないでいるのを、他人が障害と決めつけられるでしょうか?
私は代わりに、トランスジェンダーと言う言葉を用います、心と身体の性別に違和感を感じると言った意味と捉えています。
一度しかない人生、あるがままで良いのではないでしょうか。
